久しぶりのマーベル
日本にもマーベル作品が定着し、どの映画もそこそこの興行収入を記録するようになって久しいですが、個人的に映画館で見たのは『スパイダーマン:ホームカミング』ぶり。
ここ最近は年に4、5本公開されるから追いつかないんですよ。
自分のマーベル史を振り返ると、最初に見た作品は1998年の『ブレイド』。
当時はマーベルなんて意識していなかった年齢ですが、アクションや武器、世界観にドハマりして親にねだってTSUTAYAで何度レンタルしたことか…
それからもう20年。
もはやジブリを見るような心持ちでマーベル作品を見ている自分がいます。
コンティニュー商法、全員集合商法どんとこい。
どうせ主人公が不幸で、力を手に入れて活躍するけど、結局不幸なんでしょ?
わかってる。
わかってるけどどうしても見ちゃう。
子供の頃から変わらない英雄願望に加え、大人になって社会の厳しさを知ったからこそ刺さるものがあるんですよ。
ドンパチやるだけのアクション映画だと思っている人はそう思っていればいいさ。
シリーズ別マーベル作品一覧
コンティニュー商法、全員集合商法といっていたら気になってきたのでマーベル作品をシリーズ別にまとめました。
※以下、太字作品はMCU
シリーズ別マーベル作品一覧
『ブレイド』(1998)『ブレイド2』(2002)『ブレイド3』(2004)
『X-MEN』(2000)『X-MEN2』(2003)『X-MEN: ファイナル ディシジョン』(2006)『ウルヴァリン: X-MEN ZERO』(2009)『X-MEN: ファースト・ジェネレーション』(2011)『ウルヴァリン: SAMURAI』(2013)『X-MEN: フューチャー&パスト』(2014)『X-MEN: アポカリプス』(2016)『LOGAN/ローガン』(2017)
『スパイダーマン』(2002)『スパイダーマン2』(2004)『スパイダーマン3』(2007)『アメイジング・スパイダーマン』(2012)『アメイジング・スパイダーマン2』(2014)『スパイダーマン:ホームカミング』(2017)『ヴェノム』(2018)
『ハルク』(2003)『インクレディブル・ハルク』(2008)
『パニッシャー』(2004)『パニッシャー: ウォー・ゾーン』(2008)
『ファンタスティック・フォー [超能力ユニット]』(2005)『ファンタスティック・フォー:銀河の危機』(2007)『ファンタスティック・フォー』(2015)
『ゴーストライダー』(2007)『ゴーストライダー2』(2012)
『アイアンマン』(2008)『アイアンマン2』(2010)『アイアンマン3』(2013)
『マイティ・ソー』(2011)『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』(2013)『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)
『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(2011)『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)
『アベンジャーズ』(2012)『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017)
『アントマン』(2015)『アントマン&ワスプ』(2018)
『デッドプール』(2016)『デッドプール2』(2018)
『デアデビル』(2003)
『エレクトラ』(2005)
『巨大怪物 マンシング』(2005)
『ドクター・ストレンジ』(2016)
『ブラックパンサー』(2018)
僕が初めて見た『ブレイド』から数えて今回の『ヴェノム』で51作品目。
なんと、シリーズものじゃないのは5作品だけ、と言いつつ2つは続編がほぼ決定しているので…
2019年1月時点で以下の作品がが公開予定だそうです。
(続)『スパイダーマン:スパイダーバース』(アニメ映画 2019)
(新)『キャプテン・マーベル』(2019)
(続)『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)
(続)『X-MEN:ダークフェニックス』(2019)
(続)『ザ・ニュー・ミュータンツ』(2019)
(続)『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019)
(新)『モービウス』(2020)
(続)『ヴェノム2』(2020)
(続)『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーVol.3』(2020)
(続)『X-フォース』(未定)
(続)『ブラックパンサー2』(未定)
(新)『ブラック・ウィドウ』(未定)
(新)『ガンビット』(未定)
(続)『ドクター・ストレンジ2』(未定)
14作品中10作品が続編…安定ですね(笑)
今回の『ヴェノム』の続編は正直楽しみ。
で、マーベルを語る上で避けて通れないのがMCU。
MCUとはマーベル・シネマティック・ユニバースの略で、マーベル作品が共有する架空の世界のことです。
マーベル作品は作品ごとに別世界の出来事だと思われがちですが、実はいくつかの作品は世界を共有しています。
分かりやすいのがアベンジャーズ。
アベンジャーズに登場するヒーローはほぼMCUの住人です。
初代やアメイジングのスパイダーマンはアベンジャーズに登場しませんが、ホームカミングは登場する、そういうことです。
つまり、マーベルがこれからもヒーロー単体作品を作りつつ、たまにアベンジャーズで共闘させるという未来像を実現するためのつじつま合わせであり、コンティニュー商法、全員集合商法のための大枠設定なんです。
まあ、ファンにとっては設定がチグハグにならないのでありがたいですけどね。
今回の『ヴェノム』はMCUではありません。
これにはマーベルと配給会社(ソニー)の思惑があるんです。
ソニーはマーベルにかなり入れ込んでいて、MCUに対してソニー・マーベル・ユニバースを作ったくらい。
別に仲が悪いわけではなく、それぞれがマーベルというブランドをどう盛り上げていこうか切磋琢磨している…と思いたいですね。
興味があれば詳しくは『ヴェノム』のウィキペディアを見てみてください。
個人的には『アベンジャーズ』(2012)が公開された辺りで気になり始めて動向を追っていたのですが、『ヴェノム』のウィキペディアはかなり詳しく、面白く書かれているので。
今後はMCUとソニー・マーベル・ユニバースを要チェックです。
ちなみに、今回の『ヴェノム』はMCUではなく、ソニー主体の作品です。
ヴェノムのあらすじ
《誰もが望む、歴史的偉業》を発見した<ライフ財団>。それは、世界を変えるはずだった――。正義感溢れるジャーナリスト、エディ・ブロック(トム・ハーディ)は、そのライフ財団が人体実験で死者を出しているという噂を突き止めるために取材を試みるも、人体実験の被験者との接触により、“シンビオート”(地球外生命体)に寄生されてしまう。この意思を持った生命体が語りかける声が聞こえ始めたエディの体には、とてつもない変化が起きていた。彼の中で解き放たれた<悪>が、体を蝕み、増殖していく――。
エディと一体となったヴェノムは、「俺たちは――ヴェノム」と名乗りをあげ、ヴェノム誕生の時がついに訪れた!
鋭い牙と黒く禍々しい姿、人も食べちゃういかにも悪役なヴェノムが今回の主役ですが、実は『スパイダーマン3』ですでに登場していました。
ただ、そのときはヴェノム自体の人格は深く描かれず、ただの寄生虫のような扱いでしたし、敵が何人かいるので存在感は薄めでした。
あ、ヴェノムの弱点は描かれていましたね。
『スパイダーマン3』では、主人公ピーターパーカーに寄生して欲望を増長させ、性格を凶暴にするのですが、ピーターは教会でその誘惑に打ち勝ち、逆に、ピーターに捏造記事を暴露されたライバル記者のエディの逆恨みに便乗してヴェノム誕生、という流れでした。
今回はこのエディが主人公ということになりますが、当然、主人公補正がかかって敏腕記者になっています。
監督・キャスト
今作の監督はルーベン・フライシャー。
ルーベン・フライシャーといえば僕の大好きな『ゾンビランド』。
この作品に出演していた、当時はそこまで売れっ子じゃなかったウディ・ハレルソン、ジェシー・アイゼンバーグ、エマ・ストーンが今では引っ張りだこ。
先見の明がありすぎる監督ですね。
なんと、2019年に『ゾンビランド』の続編が公開されるそうで、しかもキャストが続投、これは見るしかない。
個人的に、この監督はありえない作り込みのB級風映画を作る天才だと思っています。
もちろん褒め言葉です。
全体の雰囲気はA級とはいえないんだけど、見終わると大作を見たような満足感を得られるんですよ。
その手腕が今作でもそこかしこに見て取れて良かった。
主人公の敏腕記者エディ・ブロックを演じるのはトム・ハーディ。
2001年の『ブラックホーク・ダウン』から毎年ずっと映画に出続けている名脇役ポジションのイメージが強いので、主人公ってどうなのって正直思っていました。
演技に問題があるわけがなく、エディはもちろん、モーションキャプチャのヴェノムも演じきっていたのですが、ただ、敏腕記者とは思えない色気が溢れていて…
そんな敏腕記者います?
敏腕記者といえばかっちりしているイメージが強いので、役柄にもう少しアウトロー要素がほしかったかも。
エディの恋人アン・ウェイング役はミシェル・ウィリアムズ。
幅広い役柄をこなすベテランはマーベル作品でも強い存在感を放っていました。
今作は登場人物がかなり少なめです。
製作の経緯が原因でもあるでしょうが、明確な敵が地球外生命体で、そのバックボーンに人間が必要ないというのも大きいでしょうね。
目立つのは、主人公、主人公の元婚約者、地球外生命体を研究する企業のCEOと研究員くらいのものです。
その分、主人公の葛藤、ヴェノムの掘り下げにたっぷり時間が割かれているので、ぶっちゃけトム・ハーディの一人芝居を堪能できます(笑)
感想 ※ネタバレあり
映画を見た直後の感想は「ヴェノムがキモカワかっこいい!」でした。
トム・ハーディの演技ももちろん良かったのですが、ヴェノムの描かれ方が想定外で、終盤はもっとヴェノムを見ていたいという感情しかありませんでした。
ざっくり全体をネタバレします。
序盤はマーベルよろしく主人公の不幸話に徹します。
毎回、こんな綺麗で魅力的なヒロインを手放すなんてもったいない…と思ったりもします。
その後、墜落事故を起こしつつも地球外生命体「シンビオート」を宇宙から持ち帰ったライフ財団がホームレスを利用して人体実験を行います。
それを嗅ぎつけた記者である主人公がスクープをとるためにライフ財団に潜り込み、トラブってシンビオートに寄生されます。
おうおう、スパイダーマンと同じ流れと思いつつ、ここからがダークなパート。
シンビオートはエディの体を蝕み、グロテスクな姿で容赦なく人を襲って喰らいます。
「”俺たち”が一つになれば、何だってできる」
ここでシンビオートはヴェノムと名乗ります。
エディは自分自身をコントロールできなくなる危機感や恐怖心を覚えつつ、少しずつその力に魅了されていきます。
当然そのまま支配されることなく、偶然ヴェノムの弱点を見つけ、そこから共存していくことになると。
続いて敵パート。
ライフ財団のCEOは奪われた(?)シンビオートを取り返そうとするのですが、その際、ヴェノムと一緒に地球に来たライオットと融合します。
ライオットはライフ財団のロケットを使って仲間を呼び寄せて地球を支配しようとするのですが、最後にはそれをヴェノムが阻止すると。
さて、予告のようにヴェノムが凶悪なダークヒーローだったかというとそうではないと感じました。
不幸な主人公と凶悪な生命体が融合することで真っ当なヒーローが出来上がったんです。
しっくりくるのは、一昔前によくあったアウトローなんだけど似た者同士の二人組がやんちゃしつつ事件を解決するあの雰囲気。
序盤は反りが合わず仲違いして上手くいかないんだけど、中盤で仲が悪いなりに互いを認め始め、最後は息ぴったりってアレです。
今作でもそういった部分が多く描かれています。
最初はヴェノムでせいで奇行を繰り返すしお腹は空くしで主人公も拒否気味なんですが、ヴェノムはエディの身体を気に入って離れようとしないんです。
最初はそれだけの理由だったヴェノムも、エディに寄生している時間が長くなるにつれて人間の感情を理解してきて、恋愛指南をするような人間味のあるカワイイキャラに変わっていきます。
エディはエディでヴェノムの弱点を見つけつつ、ヴェノムの力に魅力を感じずにはいられず、徐々に相棒のような扱いに変わっていきます。
終盤では「良い奴は喰っちゃダメだけど悪い奴は喰っていい」なんて、やんちゃな2人の良い落とし所を見つけたような微笑ましい会話があります。
個人的にはこの関係性がたまらなく好きで、今後の2人(?)のスタンスが垣間見えるんですよね。
そう考えると今までのマーベルでは味わえなかった一面でしたし、自分にハマったのも納得。
ただ、残念だったところもいくつかあります。
まずは時間配分。
映画の良さに気づかされるのが遅すぎる。
マーベルなんで主人公の不幸パートは必須なんでしょうけど、ちょっとくどかった気もする。
もっとヴェノムの活躍が見たかったかな…一般人を守るようなシーンが少なすぎてやきもきした。
ラストの戦闘シーンも短すぎ。
ロケット発射まで数分という設定だし、ヴェノムもライオットも能力が多彩というわけではないからしょうがない部分もあるけど、中盤のバイクチェイスの方が長くて興奮したような気が…
ってか『スパイダーマンバース』の予告いらなし、エンドロールも長すぎだし、本編伸ばしてほしかった!
あとは、ホームレスを使って人体実験するくらい寄生の条件が厳しいはずなのに動物や元婚約者にひょいひょい寄生できてしまうとか、心情が読み取りづらいシーンが多いとか、ちょっと雑な部分が目立ったかな。
予算のせいか、PG13のせいか、CGで描かれなかった部分も多かったってのもある。
ダークヒーローであんな見た目なんだからもっとグロくてもいいのに…
ヒットしたんだから次回作ではもっとヴェノムを登場させてほしいな。
ヴェノムの存在は知っていたのでどんな仕上がりになるか楽しみだったのですが、ダークヒーローって描くのが難しいんですね。
マーベルの中ではかなりダーク寄りのダークヒーローだと思うのですが、今作を見て面白くなる可能性は十分に感じられました。
他のヒーローと違って世界平和を願うより気に食わないやつをやっつける、アルマゲドンよりダイ・ハードのような感じ。
とにかく続編で今回のもやもやを晴らしてくれることを祈っています。
2020年が楽しみ!