記念すべき第1作目は期待以上の出来だった
全6作からなる映画『バイオハザード』シリーズの記念すべき1作目。
原作ファンの私は公開当時のことをよく覚えています。
原作のキャラクターは登場するのか、設定はそのままなのか、クリーチャーの再現度はいかほどか等々、鑑賞する前に色々と不安だったのですが、見終わった瞬間に全てが吹き飛んだどころか、むしろ、次作が楽しみになりました。
原作ファンであるミラ・ジョボビッチとポール・W・S・アンダーソンのタッグだったので納得ですね。
衝撃は色々とありましたが、一番は主人公がオリジナルキャラクターだったこと。
まあ、ポスターやCMを見て薄々勘付いていましたが、これが逆に思い入れを省いてくれて見やすくなったとも言えます。
当時はまさか最後のⅥまで原作の雰囲気や設定を上手く繋いでくれる良キャラになるとは思っていませんでしたが…。
Ⅰをざっくり説明すると、アンブレラ社の特殊部隊員のアリスが記憶喪失になりつつ、バイオハザードの起こった研究施設ハイブに潜入して事態を収拾するが、最終的にはアンブレラ社に捕らえられてしまう、といったストーリー。
ハイブの超人工知能が今回の敵とも言えますし、ゲームに近い感覚にもなれる監視カメラ目線が多用されているのも印象的です。
映画の冒頭はバイオハザードの特徴とも言えるナレーションから始まるのですが、声はウィリアム・バーキン博士。原作ではT-ウィルスを完成させた博士なので初っ端からワクワクしちゃいますね。
後は、アリスの名前からも分かる通り、鏡の国のアリスへのオマージュが入っているのも興味深いです。ちりばめられているので、それを探すのも楽しみの一つかも。
名シーンも多く、レーザーグリッドでバラバラになるシーンやケルベロスを三角飛び蹴りで倒すシーンは有名ですよね。
詳細あらすじ(フルネタバレ)
21世紀初頭、アンブレラ社は全米最大の企業で、90%の家庭にその製品があり、強大な政治力、資金力があった。
表向きはコンピュータ・医療・健康関連の会社だが、裏では軍事技術開発、遺伝子実験、細菌兵器の研究等を行っていた。
研究施設でT-ウィルスと抗ウィルス薬の入ったアンプルを盗む一人の男。男はウィルスの入ったアンプルを1つ投げ捨てその場を去る。
この割れたアンプルからバイオハザードが始まったのだ。
施設内では実験動物のドーベルマンが吠え、バイオハザード発生の警告が鳴り響く。エレベーターも止まり、何が起こったか分からない社員は戸惑うばかり。
防護システムによってハロンガスで満たされる施設内。次々と倒れていく研究員たち。エレベーターをこじ開けて出ようとした女性もエレベーターが急上昇し首が…
シャワールームで目覚めるアリス。
自分が何も覚えていないことにうろたえつつ鏡で傷跡を見つけ、何もわからないままベッドに置かれた赤いドレスを身につける。
「今日君の夢が全て叶う」
書き置きを見つけるが筆跡は自分のものではない。引き出しには銃。さらにスペンサーとの結婚写真を見つける。
外に出ようとすると、突然、後ろからマットに室内へ引き戻される。自体を把握する間もなくアンブレラ社特殊部隊が突入してきてマットは拘束されてしまう。
記憶を失ったアリスを見て隊長のジェームスは神経ガスによる記憶喪失だと告げる。
拘束された2人と共に階段を降りる特殊部隊。そこには貨車が。
J.D.にからかわれつつ貨車を直すレインは床下の金網に穴が空いているのを見つけて不穏な空気を感じ取る。
発車した貨車の後ろの扉から気絶したスペンサーが発見されるが、アリスと同様、記憶喪失であった。
一方アリスはスペンサーを見て徐々に記憶を取り戻す。
貨車を降りて先へ進む一行。
特殊部隊の目的は、バイオハザードの起こった研究施設「ハイブ」の内部調査であった。
「洋館はハイブへの緊急入り口で、アリスとスペンサーはそれを守る隊員であり、スペンサーとは偽装結婚をしていた。ハイブは500人以上の研究員が暮らし、働く研究所で、研究内容は極秘である。」と2人に告げるジェームス。
このとき、一行はハイブのシステムによって、すでに体温で感知されていた。
レインが開けた扉からJ.D.が突入するとハロンの放出反応が。
バイオハザードが起きた際、ハイブを支配している超人工知能「レッド・クイーン」の防護システムによって神経ガスが放出されたのだ。ガスの一次作用は4時間ほどの意識不明、二次作用は個人差があるものの、急性の記憶喪失となる。
アリスはジャケットを貸してくれたスペンサーに何か覚えていないか聞くも、思い出せずにいるスペンサー。
エレベーターの扉をこじ開け、落下したエレベーター発見、階段で地下へ。階全体が浸水しており、水没した研究室に浮かぶ研究員の死体を横目に通り過ぎるが、直後、その死体が突如として目を覚ます。
地図では食堂Bとなっている部屋に到着するが、そこは実験生物保管庫だった。
調査のためレイン、J.D.、マットを残し先へ進む一行。
作戦は、この先にあるレッド・クイーンのメインボードに過電流を流し、レッドクイーンを消滅させるというもの。
チャドが先へ進む扉をハッキングして開け、部隊は明るい通路を進むが、突如として閉まる扉。
この通路はレーザーグリッドであった。
通路の両側から照射されたレーザーはあらゆるものを切断する。
隊員はレーザーを避けようとするも、形を変えて襲い来るレーザーに為す術なく、ジェームスを含む3人が犠牲となる。
チャドは動揺しつつもなんとか扉を開け、アリスとともに先の部屋へ進むが、そこに少女の姿をしたレッド・クイーンのホログラムが映し出される。
「ここから出ていって。私を止めると電力が落ちて大変なことになる。言うとおりにして。お願い。」
そう語りかけるレッド・クイーンを無視して作業を進めるチャド。
シャットダウンする直前、「あなた達はここで死ぬ」と言い残すレッド・クイーン。
チャドは作戦通り、過電流で強制的にレッド・クイーンをシャットダウンし、ボードを抜いて再起動不可能にする。
レイン、J.D.、マットが残る実験生物保管庫では生存者が発見される。
レインが生存者に話しかけるも、反応がなく、いきなり噛みつかれてしまう。
やむなく射殺するも、その不自然な状況に動揺する3人。
戻ってきたアリスとチャドに状況を説明するが、何が起こっているか分からない。
そうこうしているうちに、同じような生存者が集まり、銃撃戦が始まった。
マットはこの混乱に乗じて手錠を外し、アリスはフラッシュバックにより、徐々に記憶を取り戻す。
J.D.は逃げようと先の扉を開けるも、その先にいたアンデッドたちに引きずり込まれてしまい、助けようとしたレインもまた腕を噛まれてしまう。
なんとか逃げおおせた一行であったが、研究員の死体がないことから、アンデッドになったことに気付く。
そんな中、人のいなくなった実験生物保管庫から人知れず抜け出すクリーチャー「リッカー」の姿が。
それぞれ、状況を把握するために調査を始める。
レインとチャドは言い合いになりつつ電源が落ちて地上に出られないことを嘆く。
アリスは空っぽの研究室を探るが、そこで食い破られた檻を見つけ、犬がアンデッドとなったケルベロスに遭遇する。
怯えつつも、高い判断力、身体能力により1体のアンデッド、8体のケルベロスを撃退し、自分が隊員であったことを自覚し始める。
マットは、一行に秘密で探していた研究員である妹と再会できたがすでにアンデッドとなっており、襲われたところをアリスに助けられる。
そこで、リサを見てアリスは記憶を取り戻す。アリスは、アンブレラ社の違法な研究をリークしたいリサに協力していたのだ。
リサは遺伝子や、ウィルス、その情報を持ち出そうとしていたが失敗。妹がなぜ失敗したのかを知らず、アンブレラ社を憎むマットを見て、アリスは事実を伝えられずにいた。
一行はレッド・クイーンの部屋で籠城するが、地上への扉があと1時間で閉まることを知り、逃げ道を探すためにアリスがレッド・クイーンを再起動する。
レッド・クイーンは「警告した」と状況を見抜きつつ、アンデッドに関する情報を一向に告げる。
研究と開発によって生み出されたT-ウィルスは医学的に成功したが、軍事的にも莫大な利益を生み出す。死んだ後も数ヶ月生き続け、記憶は少し、知能はなくなり、残るのは食欲のみ。背骨の上部か脳に打撃を与えることで活動を停止するが、噛まれたり引っかかれたりすると感染する。また、T-ウィルスが空調システムによって拡散されたことで、液体から空気感染という最悪の汚染パターンになってしまい、消滅は不可能である、と。
レッド・クイーンを消滅させると脅し、逃げ道を聞き出した一行は、インフラ用の地下空間へ。
先へ進むが、ここにも大量のアンデッドが。
一行はパイプに登るが、その際、チャドは足を噛まれ、レインはアンデッドになったJ.D.を悔しそうに撃ち殺す。
パイプが崩れて取り残されたチャドは、残りのメンバーに先に行けと促す。リボルバーに弾は1発。自殺するかと思いきや、逃げ延びる。
研究室の廊下にたどり着く一行。
アリスは研究室を見て青い液体がウィルス、緑の液体が抗ウィルス剤であることを思い出す。
治せることが分かると、抗ウィルス剤のある研究室へ向かうが、それはすでに盗まれていてレインは絶望した。
ここで記憶を取り戻すスペンサー。
アリスとリサの会話を盗み聞きして状況を知り、自分が盗むつもりでアリスへ書き置きし、実際にウィルスと抗ウィルス剤を盗み出し、去り際にウィルスを散布したのは全てスペンサーであった。
一行を裏切って銃を向け事実を告げるスペンサー。アリスの目的も大金であると勘違いしてはいたが、気にも留めない様子。
このまま上手くいくかと思いきや、水中から起き上がったアンデッドに噛まれ、それを撃ち殺し、逃げ出した。
しかし、スペンサーの行く手にはリッカーが迫っており、貨車へたどり着いて抗ウィルス剤を打とうとするも、その場で食い殺されてしまう。
部屋に閉じ込められた一行にレッドクイーンが語りかける。
リッカーはDNAを摂取すると変異する。抗ウィルス薬は時間がたつと効かない。リッカーがすぐに現れるが、感染者であるレインの命と引き換えに扉のキーコードを教えると。
強化ガラスの向こうに現れるリッカー、アリスに斧を渡すレイン。しかし、決断を迫られたアリスはレインを殺さず、レッド・クイーンへの反抗としてモニターを破壊した。
すると突然電源が落ちる。チャドがレッドクイーンをショートさせたのだ。空いた扉からチャドが登場し全員で逃げ出す。
一行が貨車にたどり着くと、殺されたスペンサーがアンデッドになっており、それを撃退するアリス。
「別れがつらいわね」と皮肉たっぷりに別れの言葉を告げ、結婚指輪をスペンサーの手元に投げ捨てる。
レインとチャドに抗ウィルス薬を打つアリスとマット。
「魂をなくして彷徨うのは嫌。死んだらとどめを刺して。」と言うレインをなだめるアリス。
しかし、レインは静かに動かなくなってしまう。
泣きながら銃を構えるアリス。
もうダメかと思いきや、いきなり起きて「まだ死んでないよ」と銃を取り返すレイン。
ホッとしたアリスはレインにキスをしたいと嬉しさを露わにする。
すると突然リッカーが貨車の壁を引き裂き、マットは傷を負ってしまう。
運転席にいたチャドは喰われてしまい、さらに扉をこじ開けるリッカー。
そしてリッカーとの決戦が始まる。
アリスは銃で、マットは宙吊りになっていたパイプの束で攻撃するも有効ではない。
アリスはとっさにリッカーの舌を押さえ、パイプで床に突き刺す。
マットに開閉式の床を開くように叫ぶアリス。
しかしマットの目の前にはアンデッド化したレインの姿が。
叫ぶアリス、抵抗するマット。
最後はマットが銃でレインを撃ち殺し、レインが開閉ボタンに倒れ込む形で床が開き、リッカーは走る貨車とレールに挟まれ、飛び散る火花で焼け死んだ。
結局生き残ったのはアリスとマットだけであった。
閉じるハイブへの扉を背に、洋館へ戻る2人。
しかし、物語は終わらず、突然白い防護服を着た集団が突入してくる。
連れて行かれるマット、必死に止めようとするアリス。
マットはリッカーに引っかかれた部分が変異していた。
「ネメシス計画で使おう。女は隔離し、監視下に置け。血液検査をして感染しているか調べろ。ラクーンシティの病院へ。研究班を集めろ。ハイブを再開する。地下の様子を調査しろ。早くやれ。」
博士の言葉が響く。
病室で目覚めるアリス。
苦しみながら自分で注射管を引き抜き、マジックミラーに叫ぶ。
反応がないため注射針で扉の鍵をこじ開け、病院を彷徨う。
病院の外に出てみると、町は壊滅していた。
パトカーからショットガンを手に入れたアリスは、何かを決意したような顔であった。