ミュージカル狂
最初に断っておくと、当記事の筆者である僕は、かなりのミュージカル狂。
ミュージカルを観にニューヨークまで行っちゃいますし、ミュージカルというだけで評価の星が平気で1個増えます。
ミュージカルのような人生が良いなと夢想する痛いおっさんです。ごめんなさい。
ちなみに、最新版ではなく、むかーしやっていた美女と野獣のミュージカルも見に行きました。
実写化という悪魔…などいない
日本で「実写化」というと、マンガやアニメ、小説等の映画化が浮かびますが、その多くが酷評されています。
主に原作への愛が強すぎるファンたちによって…。
とは言え、興行収入で言えば『ROOKIES』や『花より男子』、『海猿』シリーズ、『テルマエ・ロマエ』、『るろうに剣心』等々、30億を超える大ヒットした作品も数え切れないほどあるので、実写化=駄作というのは間違い。
そもそも完全オリジナル映画の方が圧倒的に作りづらいですし、日本には優れた作家、漫画家が数多くいるので、それを土台にしようと考えるのは至極当然なことかと。
逆にオリジナル映画に資金を引っ張ってこれる監督って…北野武とか?他には…?
いや、『E.T.』や『スターウォーズ』、『アバター』は原作ありませんが?と言われれば…
だからこそこうした作品では監督や脚本家が賞賛されるんですよ!
話がずれましたm(_ _)m
かくいう僕は実写化賛成派。
というか映画という2時間娯楽に上手く詰め込まれていればなんでも好き、というスタイルなので。
ディズニーの実写化は今作を含めてどれもお気に入りです。
(あ、2014年のフランス制作の実写版『美女と野獣』はいつ恋に落ちたのか分からなかったので…ヴァンサン・カッセルとレア・セドゥは超素敵だったんだけど…)
『美女と野獣』にも原作はある
『美女と野獣』=ディズニーというイメージですが、元を辿ると…
- 1740年 フランスのガブリエル=スザンヌ・ド・ヴィルヌーヴによって書かれる
- 1756年 ジャンヌ=マリー・ルプランス・ド・ボーモンが改変する
- 1930年代以降 ウォルト・ディズニーがボーモン版を何度もアニメ化しようとするも難しすぎて毎回ボツに
- 1966年 ウォルト・ディズニー死去
- 1991年 アニメ化
- 2017年 実写化
という流れ。
ウォルト・ディズニーがアニメ化を目指して60年、死後25年で念願叶ってアニメ化、その更に26年後に実写化という、ディズニーにとって、とても歴史のある特別な作品なんです。
アニメ映画として初めてアカデミー賞(作品賞)にノミネートされたのもこの作品でした。
ちなみに、原作の『美女と野獣』自体は、映画はもちろん、ドラマや音楽、バレエ、舞台等、様々な派生作品を生んでいます。
全ての物語の生みの親的な『グリム童話』の初版にも『夏の庭と冬の庭』として収録されています。
(『グリム童話』自体が1812年に編纂された「童話集」なので不思議でもなんでもないのですが)
新曲は大成功!
「ひそかな夢(Evermore)」「時は永遠に(How Does A Moment Last Forever)」「デイズ・イン・ザ・サン~日差しをあびて~(Days In The Sun)」
期待しつつも大丈夫かと思われた新曲ですが、どの曲も本当に素晴らしかった。
劇中の俳優による歌唱はもちろん、エンドクレジットのジョシュ・グローバン、セリーヌ・ディオンも最高。
そして、アリアナ・グランデとジョン・レジェンドによる主題歌「美女と野獣」も新鮮。
これら以外の曲も健在で、実写にとても馴染むアレンジがすごい。
すぐにサントラCDを手に入れてエンドレスリピートですわ。
感想の結論→傑作
アニメ版が傑作であるがゆえに実写化のハードルは言わずもがな。
がしかし、そこはディズニーの豪腕でハードル超えずにぶっ壊してきました。
観る前にアニメ版も復習していきましたが、変更、追加、削除された部分は多々あるものの、しっかりと恋に落ちていく系ストーリーで良かった。
実写にするだけで登場人物の表情から心情を読み取りやすくなるのでどうしてもシリアスになりがちですが、それを上手く利用している感じも好印象。
映像自体については何の不安もなかったのですが、むしろ所々その美しさだけで泣きそうになっちゃいました。ベルが黄色のドレスを着るシーンとか…
それと、アニメ版から30分伸ばした上映時間を上手に使って、
- ベルの生い立ち
- 野獣が心を許し、恋に落ちていく過程
- 従者達の心情
- 見た目とのギャップがすごい、ガストンの嫌な奴っぷり
等々がより詳細に描写されていて、疑問を残さない、完成度の高い作品になった印象。
あーでも、思い返すと削ってほしくなかったシーンもあったな~…
図書館をプレゼントするのはサプライズの方が良かったんじゃ…いや、実写の方がアニメ版より徐々に恋に落ちていくからこれで良いんだ。うん。
アニメ版とは全体の雰囲気、テンポ、キャラクターの可愛さが別物なので、最初からそのつもりで楽しむとよいかと。
これまでに何度も観てきた作品ですが、その思い出を壊すどころか新しい楽しみ方を与えてくれた、本当に素敵な作品でした。
何にせよめちゃくちゃ泣いた。
細々とした感想
まずもってベル役のエマ・ワトソンが可愛い、綺麗。
ハーマイオニー臭なんて微塵も感じさせず、ディズニープリンセスにちゃんと染まっていました。
透き通るような歌声も素敵。
エマ・ワトソンの演技力なのか(ディズニーの修正力なのか)分かりませんが、庶民的で素朴な「朝の風景」から、野獣と出会って惹かれていく「愛の芽生え」、フィナーレの「美女と野獣」と、シーンが進むに連れて歌声がどんどん綺羅びやかになっていくのがすごい。
あ、知ってました?「ベル」ってフランス語で「美しい」って意味らしいですよ。
続いて野獣役のダン・スティーヴンス。
役柄上、素顔を晒すのはほんの少しと思いきや、序盤で王子時代を描くという先制攻撃をされてびっくり。
野獣の間はボディキャプチャーで演じたそうですが、動きがすごく自然な野獣然。(実際の野獣は見たことありませんが)
歌声もイケメン。最後に素顔に戻った時の存在感もイケメン。
そうそう、(海外ドラマNAVIで)この2人へのインタビューを読んだのですが、その内容がもうね、感動。
宣伝込みとは分かっていても、こういうことを自然に言えてしまう2人はやっぱり素敵。
ガストン役のルーク・エヴァンスは嫌な奴を演じるにはちょっとイケメン過ぎたかな。好きだけど。
ル・フウ役のジョシュ・ギャッドは『ラスベガスをぶっつぶせ』からのファン。
こういう濃い脇役って大好き。
ゲイ役ってことで騒動にもなりましたが、そんなの関係ねぇ。
『アナと雪の女王』のオラフ役でもありますから、れっきとしたディズニーファミリーですし演技力も折り紙つき。
後は、ドジっ子を卒業したモーリス役のケヴィン・クライン、リアルさが逆に良い雰囲気を醸し出していたルミエール(燭台)役のユアン・マクレガー、コグスワース(置き時計)役のイアン・マッケラン、マダム・ド・ガルドローブ(衣装箪笥)役のオードラ・マクドナルド、プリュメット(羽箒)役のググ・バサ=ロー、カデンツァ(ハープシコード)役のスタンリー・トゥッチ、ポット夫人(ティーポット)役のエマ・トンプソン、チップ(ティーカップ)役のネイサン・マックという重鎮を含むメンバーたちが、華を添えるどころか、かなりの存在感でした。
唯一、この中で気になったのがプリュメット。美化されすぎじゃね!?
そうそう、余談過ぎますがエマ・ワトソン、ルーク・エヴァンス、エマ・トンプソン、ネイサン・マックの4人は同じ4月15日生まれだとか。それぞれ2017年4月15日で27歳、38歳、58歳、10歳になったそう。
あ、アニメ版同様、馬のフィリップが走らされすぎて可哀想だったわ。