ここ数年「Harris Tweed」(ハリスツイード)というタグを貼ったものが、ブランド等で見かける事が増えたように思う。こんなによく見かけるのに、実はイギリスの法律で定義が規定されている。しかも実に細かく。ということで今回はハリスツイードについて少し書いてみよう。
原産地はハリス島、ルイス島、ウィスト島、バラ島、アウターヘブリディーズ諸島のみ。この辺りの島は自然環境が厳しいため、生地を生産することで生活が成り立ったのではないかと思う。さらにこの島民の暮らしを守る為に、技術を法律で守ったのではないかと。これはあくまで私の憶測ですが……。
原料は未脱脂のウールのみ。染色、紡績、織り上げの全ての工程を島の中で行わなければならない。織り上げの場所も島にいる職人の自宅での手織りのみ。これでいてハリスツイード協会の審査を通ると、やっとあの登録商標を押される。実はこんなにも世の中に出回っているのに、織り手は200人ほどしかいないらしい。
ハリスツイードは、かつて日本であまり見かけるというモノでは無かった。ではなぜ近年、王手ブランドでハリスツイードを使ったモノが出回るようになったのか。
1996年まではシングル幅のみであったが、生産効率をあげるためにダブル幅での展開を始めた。よって多く出回るようになったのだと思う。
現在は9割近くがダブル幅のものだとされている。味があり、暖かみを感じるナチュラルなアースカラー、柄、風合い、雨にも強く、耐久性抜群。伝統的なシングル幅の方が味はありますがね。
ジャケットではNigel Carbourn、The DUFFER of ST.GEORGE、バッグではBRADYでハリスツイードを使ってるものなどを参考にしてみるといい。
ハットやハンチング帽、ディアストーカーなど様々な小物でも使われているので、そんな職人の手作りに思いをはせながら手に取ってみてはいかがだろう。シングル幅の生地のものでなければそこまで値の張るものではないので手にしやすい。